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その為か赤坂真奈美と緑川優子に『ロイヤルスイートホテル』は良い印象を与えなかった。
赤坂真奈美が眉をしかめる。
「ますます怪しい~。不倫でもしてるのかな?」
「…これ以上は無理だね。ここは会員制だから入れないよ」
諦めモードに入る緑川優子。
そんな緑川優子に、赤坂真奈美はウインクをして財布をちらつかせる。
「それが持ってるんだよね~、会員証」
目を丸くして、緑川優子は赤坂真奈美を見た。
「この前ね~、パパとママが派手な喧嘩をしたのよ。そのときにママと家出して~、ここに泊まった。というわけで、尾行続行~」
赤坂真奈美が平然とホテルへと向かっていく。
緑川優子はその後ろを小さくなってついていった。
ドアボーイに会員証を見せる。うやうやしく一礼をして、二人のためにドアを開けた。
「…すごいね」
扉の中に入ると、別の世界が広がっていた。
吹き抜けになっているロビーの天井はどこまでも高く、豪華なシャンデリアが幾つもぶら下がっている。
大理石の床は綺麗に磨かれ、シャンデリアの光を反射し、宝石のように輝いていた。
「キョロキョロしないで~。怪しまれる」
赤坂真奈美にそう言われて、真っ赤になる緑川優子。
「…そうだね。ゴメン」
村崎亜紀の姿が見えないのを確認すると、赤坂真奈美は迷うことなく、入り口の正面にあるカウンターへと歩いていった。
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