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軽く咳払いをして、思いっきり大人びた態度でカウンターに話しかける。
「さっき、受付をした村崎亜紀の連れなんですが、はぐれてしまって…。どこに行ったか確認してもらえますか?」
「少々お待ちを…」
緑川優子は赤坂真奈美の態度に吹き出しそうになったが、必死に堪えていた。
「展望ラウンジでパーティーに出席されております」
「57階?」
「さようでございます」
簡単に礼を述べると、二人はエレベーターへと向かった。
「上手くいったね~。会員証の効果は絶大よね」
カウンターの人間も不審に思ったようだが、会員証を持っている以上は客に違いない。
つまらない詮索が客の不興を買って、首が飛ぶことも十分に有り得ることだ。
それならば、見て見ぬ振りをした方が利口というものである。
そのおかげで、赤坂真奈美と緑川優子は上手く潜り込めたのだが。
「展望ラウンジでパーティーかぁ~。こんな格好で大丈夫かなぁ?」
「パーティーに潜り込むの?」
さすがに制服で入り込むのは無理がある。
緑川優子は後悔の念が強くなっていたのだが、赤坂真奈美の好奇心は留まることを知らず、俄然爆走中であった。
「ここまで来たんだから真相を究明しないとね~」
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