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エレベーターで57階に行くと、ガラス張りの壁から都心の夜景が一望できた。
言葉を失う緑川優子。
「すごいでしょ~?」
赤坂真奈美が自慢気に話す。
「…すごいね」
眼下に広がる景色は無数の光がひしめき、一瞬ごとにその姿を変えていた。
「今、白河さんと一緒だったらいいのに…て思ったでしょ?」
途端に真っ赤になる緑川優子。
思いっきり図星を突かれ、赤坂真奈美を睨む。
「そういう場所なんだから当然だよ~。クリスマスの時期なんてスゴいんだから~」
雑誌の受け売りなのだが、さも自分が見てきたように言う。
「展望ラウンジは向こうだから~、行ってみよ~」
緑川優子はもう少し景色を見ていたい気持ちだったが、本来の任務を思い出し、赤坂真奈美の後に続いた。
展望ラウンジは薄暗く、貸し切りの状態だった。
中から賑やかな声が聞こえていたが、貸し切りのため赤坂真奈美と緑川優子は入れずにいた。
「う~ん、これは困った…」
赤坂真奈美が考え込む。
雰囲気から、大人のパーティーだというのは察しがついた。
そこに制服で入り込むと、間違いなく浮いた存在になる。
「…何のパーティーなんだろ」
緑川優子が興味津々で覗いている。しかし、薄暗い店内は外からでは様子を窺うことができなかった。
「多分~、合コンかお見合いパーティーじゃないかなぁ」
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