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「…村崎先生が合コン?」
あの村崎先生が、合コンではしゃいでいる様子はいまいち想像できない。
「付き合いとか~、そんな理由じゃないかなぁ。何にしても、デートという感じじゃないよね~」
帰ろうか? と緑川優子に目で合図を送る赤坂真奈美。
緑川優子も『意義なし』といった様子で頷く。
エレベーターを待っていると、展望ラウンジから見覚えのある顔が出てきた。
緑川優子が気付き、赤坂真奈美の腕を引っ張る。
「…あれ、お天気キャスターの山吹千尋だよね?」
朝のニュース番組で天気予報を担当している山吹千尋だ。
世の中のおじ様方に絶大な人気を誇り、彼女の天気予報を見てから出勤するというサラリーマンも少なくはない。
彼女が夏休みを取って出演しなかった時は、視聴率が一気に下がったという伝説まである。
「うわ~、テレビで見るより可愛いよね。サイン貰ってこようかな」
「…迷惑じゃないかな」
そんな会話をしていると、二人に気付いたのか、山吹千尋が二人の方に歩いてきた。
一気に緊張する赤坂真奈美と緑川優子。
「その制服、セレスティアだよね? こんな所で何をしてるのかな?」
テレビと同じ、優しい笑顔で山吹千尋が話しかけた。
この笑顔と話し方が、世のおじ様方を虜にするのだ。
「あ、あの~、握手してもらえますか~?」
緊張でガチガチになった赤坂真奈美が恐る恐る手を出す。
山吹千尋は気を悪くした様子もなく、その手を優しく握った。
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