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「亜紀の生徒さんかな? 呼んできてあげようか?」
山吹千尋の言葉に、赤坂真奈美と緑川優子が首を振りまくる。
山吹千尋が村崎亜紀を知っていたことには驚いたが、それよりも村崎亜紀の後をつけていたことがバレると、非常にヤバい。
「私達がいたことは内緒にしといてください~」
「…お願いします」
山吹千尋は怪訝そうな顔をしながらも、笑って頷いた。
「あの~、中では何をしてるんですか~?」
赤坂真奈美の質問に山吹千尋の表情が曇る。
「付き合いのパーティーよ。断れなくて、亜紀を無理矢理誘ったの。亜紀に悪いことしたな」
安堵と落胆。
その二つが入り雑じったような表情で顔を見合わせる赤坂真奈美と緑川優子。
その内心では『やっぱり』という気持ちが強かった。
「あの~、差し出がましいお願いだとは思うんですが~、サイン頂いてもいいですか?」
緊張感が解けたのか、精一杯の敬語を使って赤坂真奈美が尋ねた。
山吹千尋は照れたように笑う。
「芸能人じゃないんだけどね。私ので良かったらいくらでも」
その言葉に、笑顔でバッグの中からノートとペンを取り出す二人。
しかし…。
「私のサインもいる?」
聞き慣れた声に、赤坂真奈美と緑川優子の動きが止まった。
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