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頭の中を整理する。
俺の目の前にいるガキは幽霊。
俺はこのガキを助ける為に路上に飛び出した。
元々、死んでる人間を助けようとしたわけだ。
「お前、本当に幽霊なのか?」
確認の為、もう一度聞く。
「だから、何度もそう言ってるじゃない。頭悪いなぁ」
かわいくないガキだ。
こいつのせいで危うく死にかけたんだぞ。
笑い話にもなりゃしねー。
ん?
まさか…。
「お前、あれだろ? 道連れが欲しくて俺を巻き込んだな?」
「人聞き悪い事言わないでよ。おじさんが勝手に僕を助けようとしたんじゃないか」
…確かにそうだ。
しかし、助けてやろうとしたのに何て言い種だ。
「じゃあ、何で俺についてくるんだ? しかも部屋にまで。さっさと成仏しろよ」
「それができたら、こんな汚い部屋にいないよ。頭悪いなぁ」
…。
「分からないけど、何かが僕を縛りつけてるんだ。おじさん、手伝ってよ。僕が見えるのは、おじさんだけなんだよ。お願いだよ、おじさん」
…おじさん、おじさん。
連呼するんじゃねーよ。
何で俺が人助けなんかしなきゃならんのだ。
「僕を助けようとしたんでしょ? だったら最後まで面倒みてよ。お願い、おじさん」
ガキの目には涙が溜まりつつあった。
俺は大きく息を吐き出した。
「名前は…何て言うんだ?」
「…祐太、武蔵野祐太だよ。おじさんは?」
「…三鷹大輔。その、『おじさん』てのを止めたら助けてやってもいい」
俺の言葉に、祐太の目が輝く。
「本当に? 分かった、止めるよ。おじさん」
…分かってねー。
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