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さて…
助けるとは言ったものの、何をどうすりゃいいんだか…。
幽霊なんだから、坊さんとか霊媒師に見せりゃ簡単そうだな。
お祓いでも除霊でもいい。
さっさと成仏させてもらおう。
祐太が俺を期待の眼差しで見ている。
やれやれ…。
ちょっと調べてやるか。
俺は何でも載っている、便利な黄色い電話帳を取り出した。
霊媒師なんか載ってるとは思えんが…。
…あった。
普通に載ってんだな。
『あなたの未来を霊視によって明るく眩しい未来に変えましょう。小金井カウンセラー』
…強烈に胡散臭いものを感じるが、行ってみる価値はあるかもしれん。
俺は煙草をくわえた。
「煙草は身体に悪いんだよ」
「知ってるよ」
俺は構わず火をつけた。
ガキの言う事にいちいち構っていられない。
「明日にでも連れていってやるから、子供はもう寝ろ」
子供扱いされたのが気に入らないのか、頬を膨らませて、そっぽを向く祐太。
それがガキだっていうんだ。
祐太はソファーに横になると目を閉じ、しばらくすると寝息をたてはじめた。
…幽霊とは思えんな。
普通に寝てるぞ。
軽く伸びをすると背中に激痛が走った。
痛ぇ…やっぱりどっか痛めてたか。
まったく、このガキは悪霊に違いねーな。
このガキを助けようとしたのがそもそもの間違いだった。
似合わない事をしたバチが当たったんだ。
俺は煙草を灰皿に押し付けると二本目をくわえて火をつけた。
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