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看護士が遠慮がちに声をかけてきた…
「警察の方がみえてます…」
慎吾はうなづいて力無く立ち上がる…
警察から事故の時の状況を聞かれ…加害者が酒気帯だった事やタイヤがノーマルだった事を聞いた…
あらためて怒りが込み上げる…
ただ加害者は深く反省しており…なんの言い訳はしないとしきりに言ってると…せめてもの救いだった…
「慎吾!」
兄が呼びにくる!
「聖子の意識が戻ったぞ!」
慎吾は警察に頭を下げ聖子の元に走った…
聖子は目に包帯を巻いて横たわっていた…
「せっ聖子……パパだよ…」
弱々しい声で
「パパ………?痛い…ママは?ママ!ママ!」
取り乱す聖子…
「聖子………」
慎吾は父親として聖子に何を…どう話したらよいのか…ただ母親が死んだ事を言う事は出来そうになかった…
「聖ちゃん…おばあちゃんよ…」
慎吾の母親が代わりに聖子の手を握る…
「おばあちゃま?聖子ね…おめめが痛い…ママになら治せるから…ママ呼んで…痛いよ…」
悲痛な声が響く…
「痛くなくなるおまじないしますからね…でもちょっとだけ…チクッてするけど我慢してね…」
涙目の看護士が聖子に鎮痛剤をうつ…
「ママ………」
それだけを言って再び眠りにつく聖子…
「このこが…一体何をしたと言うんだ!」
慎吾の父親が壁を叩く…
聖美の両親は娘の亡きがらから離れられずにいた…
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