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慎吾の兄は葬儀の準備をすすめていた…
友引がからみ…通夜は23日…告別式はくしくも…24日となった…
通夜も告別式も大きな…悲しみのうちに終わった…
加害者の両親が訪れたが…丁寧に断り帰ってもらった…どうしても割り切れなかった…泣いて謝る両親を見て心が痛まない訳ではなかったが………
告別式が終わり双方の両親と聖子に面会に向かう…
母親が亡くなった事をいつまでも隠せる訳もなく…今日話すつもりでいた…
「聖子………」
父…慎吾は心を鬼にして打ち明けるつもりでいた…
「聖子!具合はどうかな?」
明るい声で話しかけた。
「パパ!もう痛くないよ!今日はご飯も全部食べたよ!」
明るく答える聖子…
こんな可愛い娘に…今から俺は…
慎吾は悟られないように涙を拭う…
ベッドに近くと椅子に座る…
「聖子…あのね…ママなんだけど…」
そこまで言いかけた慎吾の手を探り引き寄せる聖子…
「パパ…ママは…お星さまになったんだって!」
いきなりの聖子の言葉に…まわりで息を殺しながら見守る両親達や慎吾は驚いた!
「せっ聖子?」
慎吾は不思議がる…
「ママがね…さっきお別れにきたの……ママ泣いてたよ…命は守れたけどおめめは…ごめんねって…聖子のおめめはもう雪を見れないの?」
あまりの事にうろたえる慎吾…
「いっ今は無理だけど…必ず見えるようにしてあげるからな!」
角膜移植しか再び光りを取り戻す事は出来ない事は医師から説明でわかっていた…簡単な事ではない事も…でも…諦めるつもりはなかった…
「後ね…ママがね…許してあげようね!って!優しい聖子でいてねだって!」
「聖美…」
聖美の母親はたまらず泣き出す…
「ママバーバ!いたんだ!なんで泣くの?聖子は大丈夫だよ!退院したらまた遊んでね!」
屈託のない聖子の声が余計に悲しくさせた…
イブの日に…妻聖美…天に召される…
享年28さい…
最愛の妻…でもあり
最愛の…娘でもあり
かけがえのない母親でもある…
失った悲しみは計り知れない…
ただ小さな娘だけは前向きに生きていた…
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