悲劇は突然に

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「お庭の雪少なくなっちゃったね…」 聖子はつぶやきながら門の近くの雪を集めていた… 10分前…とある事務所… 「川崎さん…まだ酒残ってるんじゃないの?それに…ノーマルタイヤじゃ危ないっすよ!」 残業の後に酒盛りをした会社員の会話だ… 「もう酔いは冷めたし!雪国育ちの俺にしたらこんな雪…にわか雨みたいなもんだよ!」 後輩の心配をよそにハンドルを握り自宅に向かうこの男性… 川崎 寿彦…29才… 「都会の奴はこの程度の雪で何大騒ぎするんだな…」 独り言を言いながら慣れた道を走る… 突然犬が横切る… ブレーキを強く踏み込む川崎… 「ガン!」 民家の塀にぶつかる! そのはずみである民家の門を目掛けて突っ込む! 「聖子!」 門の近くで雪を集めていた娘目掛けて車が近づく… 母はためらう事なく娘をかばった… 「ガッシャ~ン」 物凄い音が響き渡る… 「あっ…………あ……………」 聖子の父は膝から崩れた… さっきまで元気だった愛する妻と愛娘が無残にも血まみれで倒れていたのだ… 真っ白な雪を真っ赤に染めて…
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