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野球部に要らない、と言われて3日。
じゃ、そういう事なんで、と言って5日が過ぎた。
毎日練習には参加しているが、いまだに自分たち以外の新入部員が来ない事に、早くも後悔している火村と速水がいた。
「俺たちを入れて、部員は総勢5人。未だ俺ら以外の新入部員は来ず…。ここまで人気の無い部とは…」
火村はストレッチをしながら、背中を押してくれている速水に言った。
「まあ、2人以上9人以下なら何人で出場しても良いってルールなんだから、試合する分には問題無いんだろうが…。火村、交代」
速水が座り、火村が背中を押す。
「やっぱ、もう少し部員欲しいよな。部員集めに必至だった如月さんの気持ちも、今なら分からんでもない……い、イテテッ!火村、強すぎだ!!」
「あ。わりぃわりぃ」
そう言って、火村は手を離す。
速水は立ち上がり、手袋を着けた。
火村はボールを取り出し、速水に投げる。
キャッチボールだ。
「土肥先輩に話して、部員集めしてみるか?」
速水がそう言いながら、ボールを投げ返す。
「それだ!1年が俺ら2人って寂しいし…!」
受け止めたボールを、火村は強めに投げ返した。
バシンッ!という音を立てながら、速水は受け止める。
「じゃ、後で話してみるか……うるぁ!!」
そう言って、速水は火村よりも強くボールを投げつけた。
物静かな速水がそんな行動に出るとは、よほど火村の行動が気に食わなかったのだろう。
火村は受け損ね、跳ねたボールが顎に当たっていた。
「お。朝練、頑張ってるね」
そこに土肥がやって来た。
「あ。土肥先輩、おはようございます」
速水が気付き、頭を軽く下げた。
火村はというと、頭も下げずにいきなり土肥に詰め寄ると、
「先輩。俺らで部員集めやってもいいッスか?」
と聞いた。
土肥は突然の事に驚きながらも答える。
「あ、あぁ…。でも、一応キャプテンに許可取ってからやれよ?」
その言葉に、火村と速水は首を傾げる。
「キャプテンって、土肥先輩じゃないんですか?」
速水が疑問を口にだす。
今まで話した中で一番キャプテンらしいのが土肥だったので、てっきり土肥がキャプテンだと思っていたからだ。
土肥はハハッ…と笑い、
「キャプテンは如月だよ」
と教えてくれた。
2人が驚いたのは、言うまでもない…。
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