プロローグ

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「あ!あったあった!956番!」 「マジで!?……あ!私もあったよ!803番!」 「1125…1125……。あれ…無い…?うそ…?」 「うぉぉぉおぉお!ヨッシャー!あったぞ、284!」 高校入試の合格発表。 喜びも悲しみも、いろんな声の聞こえる中を静かに歩く男子中学生がひとり…。 少し長めの黒髪はワックスでもつけているのか、何かの漫画の主人公のようにツンツンと上に逆立っている。 背も高くもなく、低くもなく…。 平均身長と言ったところだろうか。 体つきはしっかりしている。 明らかに、スポーツをやっている体だ。 そんな彼は手に持っていた手提げカバンから受験票を取り出し、自分の受験番号を探し始めた。 しかし、人混みに押され思うように番号を探せない。 が、それでも頑張って人混みを押し退けて最前列へ…。 (2556…2556……っと) ズラッと並ぶ番号。 ずっと見ていると、数字ばかりで気分が悪くなりそうである。 (2550…1…2……) 目線を上から下へ…。 順番に番号を確認していく。 (4…5……6…。あった…) 見つけた瞬間、嬉しさが込み上げてきた。 「いぃよっしゃぁぁぁあぁぁあ!」 その人物は拳を突き上げ、人目を気にする事なく叫んだ。 その彼の手から、受験票が落ちる。 受験票の名前の欄には、“火村 翔(ヒムラ ショウ)”と書かれていた…。
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