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「き、キックベース部って…」
木曽は両腕をだらん…と下げ、火村側についた金本を睨んでいた。
「いいから、さっさと入部しろって。紹介した私の立場無いだろ」
奈央は木曽の頭を、パシンッ!と叩いた。
「いって!そんなの、お前の勝手だろ!……ったく、分かったよ。見学だけ、見学だけな?」
それを聞いて、火村と速水は邪悪な笑みを浮かべた。
どのみち、見学に行ったら如月に掴まってしまうのだ。
入部したも同然である。
「ところで~、キックベース部って、マネージャーとか募集してないの?」
何の冗談か、奈央はいきなり体をクネクネさせながら速水にすり寄った。
目は完全に、“恋する乙女”である。
「募集……してんの?」
速水が火村に聞いた。
「さあ?」
と、火村はヤル気の無い声で答えた。
「私、速水君のために頑張るよ?」
「できれば、皆のために頑張って欲しい…」
速水はポツリ…と言った。
すると奈央は、ん~、と考え、
「私、“火村以外”の人のために頑張るよ?」
と言い直した。
「おい。何で俺以外なんだよ」
「キモいから」
奈央は男を外見で選ぶタイプらしい。
その証拠に、火村と速水では態度が大きく違った。
「ね。速水君。いいでしょ?マネージャー」
ともかく、相談してみないと分からない、という事でその場は収まった。
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