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授業後、火村たちは見学の金本と木曽。
速水にベタボレの奈央を連れて、練習場に向かっていた。
バシンッ!
「~~~~~っ!」
練習場に入った途端に、火村の顔にボールが当たる。
「ボールによく当たる奴だな」
速水はそう言って、フリーキック(※この場合、野球で言うフリーバッティング)をしている如月を呼び寄せた。
金本と木曽の姿を見た瞬間、全てを悟ったのか笑顔で走って来た。
火村たちをほったらかしにしたまま、如月は金本たちを何とか部に引き込もうとしている。
「どうする?御堂のマネージャーの話。如月さん忙しそうだし…」
速水が火村の方を向いた。
火村は自分の顔に当たったボールを見つめていた。
「べっつに~。俺、そんな性格悪そうなマネージャー、要らないもん」
火村は口を尖らせそう言うと、キッカーボックス(※野球で言うバッターボックス。作中では、バッターはキッカーと呼ぶ事にする)に向かって歩き始めた。
そんな火村の肩を、奈央はがっしりと掴んだ。
「待った。誰が性格悪いって?」
奈央の目が細くなり、声が低くなっている。
「お前だよ、お前!初対面の人の事、キモいとか言いやがって」
火村も睨み返す。
「だって、本当にキモいんだからしょうがないじゃん!ば~か!」
「ほら、また!そうやってすぐ人を馬鹿呼ばわりするのが、性格悪いって言ってんの!」
「はぁ!?このくらいで性格悪いとか、意味分からんし!」
獣のような目で睨み合う二人。
その二人の間に、大きな影が入ってきた。
「はい。そこまで」
そう言って、大きな影は二人の間に割って入った。
「つ、土肥先輩…。いや、こいつが悪いんスよ!」
火村は奈央を指差す。
奈央も黙ってはいない。
「ちょっ、お前が変ないいがかり付けるからだろ!?」
それを聞いて、火村も言い返す。
「ほら。聞きました、土肥先輩?“お前”とか“だろ”とか、女子とは思えない言葉遣い!マネージャーなんか、向いて無いッスよ!」
「何で言葉遣いで落とされなきゃいけねぇんだよ!つか、お前にそんな権利あんのか!」
二人は完全にガンの飛ばし合いをしていた。
キックベース部は、いきなりバラバラである。
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