初めての大会

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「さあ、整列だよ!」 土肥の呼ぶ声に、全員が元気良く返事をした。 勢い良くベンチを飛び出し、素早く並ぶ。 並ぶとすぐに分かる。 人数が明らかに違うのだ。 こちら、青陵は8人。 対して、相手の春雨は20人。 定員一杯だ。 「さ、さすが前回優勝校。なんか、オーラからして違うな…」 ベンチに戻ってきてから、七海が弱気な発言をした。 が、火村がそれを吹き飛ばす。 「はっはっは!そんなもの、気にする事ないですよ!なんスか?茶色ッスか?見えるオーラは茶色ッスかぁ!?うはっ、汚ぇ色!」 大きな声で叫び、テンションを上げている火村。 だが、これではただうるさいだけである。 「お前、もう帰れよ」 「うんうん」 「えぇっ!?せっかく来たのに!」 速水の冷たい反応と、天野の冷たい相槌。 火村は少し涙を流した。        ☆ 《1回の表、青陵高校の攻撃は、1番、ショート、金本くん。背番号、6》 金本が打席に向かう。 ついに、試合が始まった。
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