俺もやりたい…!

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「じゃあ、昨日の試合で気になった事とか……ある?」 如月と土肥が、皆を集めて反省会を始めた。 だが、皆座っているだけで、誰も手を挙げない。 「はいっ!」 誰も挙げないので、如月自身が挙げた。 「「ハイ、どうぞ」」 見事に皆の声がハモった。 次の瞬間、シンッ…となる。 そして笑いが起こった。 「うわっ、ハモったよ!ハハハッ!」 「つか、何で今、シンッ…てなった!?」 「だって、あれ?……って思うじゃん!」 「今、ハモった?……みたいな!?ハハハハハッ!」 「はいはいはい!静かにしてよ」 黙っていると騒ぎ続ける皆を、土肥が落ち着かせた。 やはり、キャプテンとしての資質があるのだろう。 だがキャプテンでないというのは、クジ運が悪いのが関係しているのだろうか。 というより、もはやクジ運云々(うんぬん)よりも、単に運が悪いだけかもしれない。 かわいそうな男である。 話を戻すが、如月の気になった事だ。 「「ハイ、どうぞ」」 今度はわざとハモってみた。 少し笑いが起こり、如月の話に耳を傾けた。 「えっとね、皆チェンジアップにやられたよね」 「ああ。あの途中でスピードがガクンッと落ちる、なんか気持ちわりぃ球?」 「そ。打てたのは君、火村くんと土肥だけ」 うんうん、と皆が頷く。 火村は悪い気はしなかった。 「だから、まず僕がチェンジアップに磨きをかける。で、その後皆の打力アップに力を入れて、チェンジアップを打てるようにしようと思うんだ。だから……合宿だぁぁあぁあ!!」 如月は握り拳を顔の前に出し、ニヤリと笑った。 それを見て、火村が手を挙げる。 「そんな時間、あるんスか?今、5月っしょ。ゴールデンウィーク使っても、さすがに春雨高校級のチェンジアップは打てなさそうなんだけど…」 「甘いね火村くんは。僕が何の考えも無しに、合宿する!なんて言うと思っているのかい?」 「うん」 火村は頷いた。 如月は足下にあったボールを、火村に向かって蹴りつける。 「まさか、皆も思ってるの!?」 「「い、いや、思ってない!(思ってるけど…)」」 コホンッと咳払いをした如月は、合宿のについて説明し始めた。
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