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6月1日。
日曜日の出発だ。
これから彼らは、29泊30日というとんでもない日数の合宿に向かおうとしていた。
校門前に次々に集合する部員たち。
土肥が一番早かった。
次に速水、七海、天野の順。
金本と木曽は一緒に来た。
さらに、如月が大量の荷物を持って登場した。
そして、奈央。
奈央はスウェットに、頭は髪をおちょんぼという寝起きスタイルで現れた。
もうこれでは“いまどきのじょしこうせい”ではなく、ただのガラの悪い女子高生である。
というか、荷物は手提げカバン1つだけですか?
という視線を皆から浴びながらも、奈央は花壇にどかっと座った。
これで全員揃ったかと思いきや、一人来ていない事に如月は気付いた。
「火村くん、また遅刻!?」
大量の荷物を背もたれに、如月が腕を組んで鼻息を荒くしている。
土肥は携帯電話をポケットから取り出し、火村に電話をかけた。
トゥルルル……トゥルルル……トゥルルル……。
呼び出し音が2度、3度。
4度目の途中で、火村が出た。
《はい、土肥先輩!今、そっちに向かってます!》
「大会とかじゃないからまだ良いけど、遅刻しないでよ」
呆れたように、土肥は言った。
電話の向こうからは、《またしてもお前かぁぁあぁあ!!スピード違反なんだよ、お前!!あと、自転車乗りながらケータイ使うな!!》と聞こえてくる。
一体、どのくらいのスピードで走っているのだろうか。
とにかく、早く来てほしいものだ、と土肥はため息をついた。
警官も連れて来たらどうしよう、とも考えた。
☆
「ぜーぜーぜー……」
「もうっ!何回遅刻すれば気が済むの!?」
「いや、すみません…」
如月の説教を聞きながら、火村は自転車を学校内の駐輪場に置いた。
警官こそ連れて来なかったものの、20分の遅刻。
如月はプンプンと怒りっ放しだった。
ただ、「まったく…。遊びに行くんじゃないんだよ!」と言った時、如月のカバンから2つの画面がある携帯型ゲーム機が落ちた時は、皆の白い視線が集まったが。
とにかく、火村は皆に小突かれながらバスに乗り込んだ。
合宿所まではバスで小1時間ほど。
学校所有の場所なので、費用は無しだ。
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