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それにしても、一体青陵高校はどれだけお金持ちなのだろうか。
如月の話では、合宿所はかなり広いらしい。
期待に胸を膨らませつつ、一行は合宿所に向かった。
☆
「お、おぉぉおぉ!?おおぉ…!」
火村が真っ先にバスから飛び降り、驚嘆の声を上げた。
続いて如月、土肥が降りてくる。
「広いでしょー!凄いよね、この広さ。一体、ウチの学校はどれだけお金持ちなんだろうねぇ」
如月が両手を広げて、火村の方を向いて言った。
如月の向こうにはグラウンドがあり、宿舎があり、そしてその向こうには山、山、山……。
さすがに、これだけの広さだ。
山奥でないと、土地が無いのだろう。
「え。でも、ここに1ヶ月もいるの?ぜってぇコンビニとか近くに無さそうじゃん…」
そう文句を言ったのは木曽である。
すると、如月はバスの中から、自分の大きなカバンを出した。
「だから、ほら。準備は怠っちゃダメなんだよ」
カバンからはお菓子の袋などが見えている。
まさか、カバンの中身は全部お菓子なんじゃないだろうか。
2つの画面がついたゲーム機といい、この大量のお菓子といい、出発前に火村に「遊びに行くんじゃないんだよ!」と怒っていたが、彼が一番遊びに行くつもりだったのではないだろうか。
行くつもりだった、というか、もう着いてしまったが…。
「さあ、荷物を部屋へ運ぶよ!」
土肥がパンッパンッと手を叩いて、先頭を歩き出した。
それに続いて、皆が歩き始める。
緑に囲まれた場所なので、当然空気は良かった。
これなら、気持ち良く練習できそうである。
部屋の方も、なかなか良い感じだった。
部屋は2人で1部屋。
火村は速水と同じ部屋だ。
内装も悪くなかった。
「はいはい、荷物置いたら着替えて外に出る!」
如月が各部屋を回って、皆を急かしていた。
火村はもう少しゆっくりしたいな、と重いながらも着替えて外に出た。
外に出ると、“かりんとう”を食べながら如月が待っていた。
「さあ、皆揃ったね!」
如月は袋に入っている最後のかりんとうを口に入れて、空になった袋をズボンの後ろポケットに突っ込むとそう言った。
そして羽織っているウィンドブレーカーのポケットから、折り紙程度の大きさの紙を取り出した。
何をするのだろうか。
皆が不思議そうに、その紙を見つめた。
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