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「こんな寒い夜にはさぁ、一緒に暖まるってのはどうよ?」
ケンケン…
ケンケンの匂い…
あたしは無言で振り返る。
俯いて、視線を合わさずに「いいよ」といった。
「えっ、マジマジマジ!?」
違う…違うよ…
この人はケンケンじゃない…
わかってる。
そんな事、わかってる。
でも、何だかもう後に退けなかった。
チャラ男はあたしの手を握って、すぐ近くのラブホへ入った。
ムードもヘッタクレもない、一番近くて安い所にしましたって感じ。
別にムードなんかいらないけれど。
ヤリたいだけなんだから、当たり前なんだろうけれど。
ああ、きっとコイツにとっても、あたしはどうでもいいヤツなんだなって思うと、悲しくなった。
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