6人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなた…やめてください…」
ようやく母親がやってきて、仲裁に入る。
心配そうな顔をしてるけど、唇の端が楽しそうに歪んでた。
ザマァミロって思ってるのか…
チャチな言い方だけど。
あたしの中で、何かが弾けた。
ケンケンの顔や、小さい頃の思い出、そして今日あった事全部が、頭の中でグチャグチャに混ぜ合わさって、大きく弾けた。
ドクンドクンドクン
心臓が大きく弾けて、キーンって耳鳴りがした。
「あんたの子なんだからカスに決まってンだろっ」
ああ、ダメだ。
これじゃ、思っている事も、思っていない事も、全部口に出してしまう。
「あんたがそういう風に育てたンだろうがっ」
頭が痛い。
指先が、真っ白になるくらいに冷たい。
「どうせあたしの事なんて、お荷物だとしか思ってないクセにっ」
父親はワナワナと震えだした。
また殴られる…いや、この体勢だと蹴られるな…
あたしは、自分の声がどこか遠くから響いてくるくらいにテンパってたのに。
頭の一部分はやけに冷静で、何故かそんな事を考えていた。
だけど父親は殴りも蹴りもしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!