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あたしはムリに笑顔を作って、ペロッと舌を出した。
「さぁ、新しいオトコでも探すかなぁ!」
やけに声がうわずる。
突然、ユウナに腕をグイっと引っ張られた。
「アンタ…今日もう帰んな。このままココにいたら、危なっかしい」
「平気だってば」
ユウナはあたしをじっと見つめている。
明らかに不穏な空気が流れていた。
ミナはそんなあたし達を交互に見ている。
「…わかった。お互い子供じゃないもんね。ごめん」
きっと。
謝るべきなのはあたしの方なのに。
先にユウナに謝られてしまった。
タイミングを逃した言葉が、喉の奥にへばりついて。
あたしは無言のままその場を離れた。
「リコチーン…」
ミナの困ったような声が聞こえたけど、無視してそのまま歩いた。
頭がクラクラする。
店を出ると、外は刺すような寒さだった。
アテもなく、トボトボ歩く。
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