東京DCのイルミネーションは 電球100万個

9/16
前へ
/52ページ
次へ
あたしはムリに笑顔を作って、ペロッと舌を出した。 「さぁ、新しいオトコでも探すかなぁ!」 やけに声がうわずる。 突然、ユウナに腕をグイっと引っ張られた。 「アンタ…今日もう帰んな。このままココにいたら、危なっかしい」 「平気だってば」 ユウナはあたしをじっと見つめている。 明らかに不穏な空気が流れていた。 ミナはそんなあたし達を交互に見ている。 「…わかった。お互い子供じゃないもんね。ごめん」 きっと。 謝るべきなのはあたしの方なのに。 先にユウナに謝られてしまった。 タイミングを逃した言葉が、喉の奥にへばりついて。 あたしは無言のままその場を離れた。 「リコチーン…」 ミナの困ったような声が聞こえたけど、無視してそのまま歩いた。 頭がクラクラする。 店を出ると、外は刺すような寒さだった。 アテもなく、トボトボ歩く。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加