ため息

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「……助けてくれて有り難うな…」 その人は 殴られて血だらけになっていた。 「いえいえ…」 そう言いながら俺はポケットからティッシュと, 小さな消毒液を取り出した。 俺はよく怪我をするので いつ怪我をしても大丈夫なように いつでもミニ救急箱を持ち歩いていた。 そして,改めて傷だらけの人をよく見た。 20後半位のサラリーマンか。 と思いきや, その男は スーツではなく 絵本で よく見るサンタクロースと同じ服を着ていた。 しかし,サンタのイメージにしては若い。 それに栗色の髪で, ヒゲが生えていない。 さらに怪しいのは黒いサングラスをかけている事だ。顔がよく見えない。 格好が 思いっきりチャラけているのに 真面目そうだと思える 奇妙な男だった。  
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