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あの桜の日から1ヶ月…。
ベランダに出て洗濯物を干していると電話が鳴った。
携帯電話が普及したせいで最近はあまり自宅の電話は鳴らない。たまに鳴ったとしても投資の誘いかマンション購入などの電話が多い。今度もそんな電話だろうと思い、どうやって断ろうと思いながら受話器をとった。
『もしもし…。』
『もしもし、あっ…あの橋本さんのお宅でしょうか?』
セールスっぽい感じじゃない…。
『はい、そうですけど…。』
『あの僕、ご主人の会社でお世話になってます。森下です。実はご主人が出勤途中に交通事故に遭いまして…。』
『えっ⁉主人が…⁉あの…。』
『外回りで得意先へ行く途中会社の前の交差点で車と接触しまして…足の骨が折れているらしいんです。俺…いや、僕今病院にいるんです。…』
病院の名前を聞いて入院の準備をして…頭の半分側ではどうしよう、どうしようと思いながらももう片側の頭は妙に冴えていて手がテキパキと動く。こういう時、女の方が強いのかも…と思いながらタクシーをひろっていた。
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