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息を切らして病院に着いた。
辺りを見回すと病院の長い廊下を若い背の高い男がこっちへ小走りにやってくる。
『橋本さん、橋本さんですよね?』
『あっ、はい。』
『すみません。僕が客先との時間を間違えてしまったので、橋本さん急いでいたみたいで…。あっ、部屋は向こうです。』
森下という青年に連れられて白い廊下を歩く。
ドアをあけるとちょっと情けない迷子のような顔の勇一がいた。
『…ごめん、ごめん。いやあ。まいったなあ…。』
このシチュエーションにまだおさまりきれないらしく、言葉がめちゃくちゃだ。
『びっくりしちゃった。あなたが入院だなんて、初めてだから。まだ痛む?』
『少しね…やぁ悪かったなあ森下くん。営業の森下くんだ。この間公園で会ったな。』
『えっ⁉ああ、あの時の…。』
確かあの日はラフな格好をしていたが、今日はスーツ姿なのでわからなかった。
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