桜咲く…

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『それじゃあ僕はこれで失礼します。』 『今日は悪かったなぁ…。そうだ、俺のノートパソコンはどうした?』 『僕の車にあります。』 『あなた、病院でも仕事する気?』 呆れた。でもそれだけ元気という事なのか…。 『メールだけは毎日見ておかないと。後で大変な事になるんだよ。美奈子、悪いけど森下くんの車からもらって来てくれないか。』 『わかった。』 病室を出た。 『すみません。近いところに車停めてありますから。』 『いいえ。今日は色々ありがとうございました。』 病院の正面玄関の近くに停めてあった車からノートパソコンを手渡された。 『美奈子さん。』 『え⁉』 名前で呼ばれて驚いた。 『この前、綺麗でした。』 『あっ…ああ。見事な桜でしたね。』 『違います。美奈子さんが、です。』 森下はニコッと笑って車に乗るとそのまま行ってしまった。 (えっ⁉…何、今の…。) (かっ・からかわれた…⁉) でも、悪い気はしない。勇一の待つ病室へと軽い足取りで戻った。
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