1.冬の始まりに

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1.冬の始まりに

明けの明星が空に見える時間。 とある街のビルの屋上。 彼女はその場所に一人きりで立っていた。 「ねぇ、あなたは何処に行ってしまったの?」 彼女は、空を仰ぎながらつぶやいた。 空はなにも答えてはくれない。 空を見上げている彼女の頬を涙が一粒こぼれた。 街はそろそろ年末商戦の準備に追われる季節となる寒い季節になっていた。 空は、寒さのせいか一段とすみわたり、いまにも白い贈り物、雪が降ってきそうな夜だった。 午後七時。 まだ、時間も早く、人通りの少ない時間帯。 「う~、さむっ。 今日は一段と寒いですね」 ここ、スナック「マサ」では、店の開店準備をしていた悟が置き型の看板を出しながらマスターの満に話かけた。
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