1.冬の始まりに

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客商売であるスナックは、天候の具合で集客がかなりちがう。 寒い夜や雨降りの夜ではひどい時には客がゼロの時さえもある。 天気予報の通りに今夜はやけに寒い夜になっていた。 街の上に停滞している梅雨前線が西からくる寒い風に冷やされてか、時よりみぞれまでも降っている。 時間は午前0時を回っていた。 「今夜はなかなか客が来ませんねぇ~」 悟が退屈そうにテーブルを吹きながら満に話かけた。 「こんな天候だからしょうがないな…」 煙草に火をつけながら満が答える。 「いっそのこと雪でも降ればいいんですよね」 悟も手を休め、煙草を取り出し火をつけた。
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