第1話『魔法の使者(マジック・エンボイ)』

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「しずく、行きます」 1人の少女、しずくが青い絵の具のように澄み渡る空を見上げ、不安と希望が入り交じったような表情をして立っていた。 頭には大きな桃色のリボンがついており、腰より少し長い水色の髪がそよ風になびいている。 首近くまである半袖のTシャツを着て、その背中にもまた、大きなリボンがついていた。 腕には指先が少し見え、カチッとはまるような長めの手袋。 スカートは触れば綿毛のようにふわふわしていそうで、膝上のニーソックスによく映えていた。 しずくは軽く息を吐き出し呟いた。 「ウイング・スカイ」 透き通る声。 同時に、左右にボタンがついた短いブーツの両端が仄かに光る。 まるで花のつぼみが開くように、ゆっくりとゆっくりと、純白の羽が生えてきた。image=107523009.jpg
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