聖良の願い

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「聖良ちゃん」   優しく呼び掛けても、膨れっ面のまま。 普段は手のかからない子なのに。   だからこそ、何が原因で不機嫌になるのかわからない。     「あ、そ。今日はケーキあげないからね」     「別にいい」 聖良は眉間に皺を作り、拳を握り締めたまま答える。     「わかった。好きにしなさい」         どうやら、今年は最悪なクリスマス・イブになりそう。       会話も少ないまま、食事を摂り、温かいお風呂に入ると、すぐに聖良の寝る時間になる。   「…おやすみなさい」     「おやすみ」       娘が居なくなると、母親は溜め息を一つついた。      
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