聖良の願い

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始まったばかりの冬休み。   もうすぐ訪れるクリスマスに、赤や緑や白のディスプレイが町並みを飾り立てる。       本屋の自動ドアからは、買ったばかりのノートと消しゴムの入った袋を抱えた、小さな少女が一人出てきた。   色々な店のショーウインドウを覗き込みながら、家路に向かう途中、サンタクロースを見つける。       「サンタさん」 駆け寄りながら、少女はサンタクロースの前に立った。     「いらっしゃい、お嬢ちゃん。ケーキ買うのかい?」 サンタの衣装と、白いヒゲを身につけた店員は、ケーキ屋の前で、にこにこと少女に笑いかける。     「ケーキより欲しいのがあるの」     少女のその言葉に、男は少しだけ困った表情を見せた。   「うーん。もしケーキを買ってくれたら、代わりに欲しいもの貰えるかも。ママに頼んでみてね」   店員の言葉に、少女は素直に頷くと、走り去っていった。      
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