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白い息を吐きながら、少女は家の玄関の前で、赤い手袋を脱いだ手でポケットを探る。
コートの右のポケットから、大好きなキャラクターのクマのキーホルダーがついた鍵を出すと、扉を開けた。
シンと静まった家。
キッチンのテーブルの上には、ラップに包まれたおかずが一人分。
共働きの両親は殆ど家におらず、少女が小学校に通い、留守番が出来るようになると、夜まで帰らない日も増えた。
テレビを点けながら、宿題を居間で済ませるのが日課。
テレビの中の、人の話し声が、何故か安心するから。
だから見てなくても、テレビを点ける。
ボイラーのスイッチを押せば、シャワーも一人で浴びれる。
少女は手がかからない分、独りだった。
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