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翌朝、クリスマス・イブ。
少女が起きると、母親は出勤の準備をしていた。
旦那と自分の弁当を作り、少女の朝と昼の御飯を作っている。
「ねえ、ママ」
「なあに?聖良ちゃん」
母親は手を休めることはせずに、少女に生返事を返した。
「駅前のケーキ屋さんのケーキが欲しいから買ってもいい?」
「駄目よ。今日ママが他のお店で買ってくるから」
「あそこのお店がいいの。ケーキ買ったら、サンタさんが、欲しいの貰えるよって言ってたもん」
なんて事、言ってくれたのかしら。
内心、母親は見もしない店員に怒っている。
駅前のケーキ屋より、会社近くにはもっと美味しいケーキ屋が、いっぱいある。
「それはサンタさんじゃなくて、お店の人なの」
小学校の中学年になったとはいえ、ケーキなんか買わせたら、落とすか、帰ってくるまでにグチャグチャになってるだろう。
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