聖良の願い

5/19
前へ
/19ページ
次へ
翌朝、クリスマス・イブ。       少女が起きると、母親は出勤の準備をしていた。   旦那と自分の弁当を作り、少女の朝と昼の御飯を作っている。       「ねえ、ママ」     「なあに?聖良ちゃん」 母親は手を休めることはせずに、少女に生返事を返した。     「駅前のケーキ屋さんのケーキが欲しいから買ってもいい?」     「駄目よ。今日ママが他のお店で買ってくるから」     「あそこのお店がいいの。ケーキ買ったら、サンタさんが、欲しいの貰えるよって言ってたもん」     なんて事、言ってくれたのかしら。 内心、母親は見もしない店員に怒っている。   駅前のケーキ屋より、会社近くにはもっと美味しいケーキ屋が、いっぱいある。     「それはサンタさんじゃなくて、お店の人なの」   小学校の中学年になったとはいえ、ケーキなんか買わせたら、落とすか、帰ってくるまでにグチャグチャになってるだろう。      
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

178人が本棚に入れています
本棚に追加