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「ただいま~」
「おかえりママ」
夕方、帰宅した母親を、聖良は居間で出迎える。
「なんでケーキがあるの?」
帰宅した母親の両手には、オードブルとケーキの箱。
テーブルの上にも、聖良が買ってきたケーキの箱。
「聖良ちゃん、どうしたの?このケーキ」
「買ったの」
母親の怒った声に、返事をする聖良の声は、小さかった。
「お金どうしたの?」
「おこづかいの残ったやつで…」
「なんでそんな無駄遣いしたの?ケーキなら、ママが買ってくるって言ったでしょ」
母親の言葉に、娘は顔を赤らめ、涙目になりながら、無言でジッと黙っている。
まるで、怒っているようで泣いているような、そんな顔。
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