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「…見つけた」
つい呟き、込み上げて来る喜びとはやる気持ちのまま私はその人の方へ駆け出した。
「―…また寝てる!!」
声をかけようとした時に、すぐにその言葉がでてきた。
見たままの言葉で芸はないけど、でも想像通りの姿が嬉しくて…。
そして声をかけられたその人は、眩しそうに目を開けた。
気怠そうに体を起こし私を見上げる。
私を見て瞳を見開き…そして微笑んだ。
「お久しぶりですね」
柔らかい声が風にのって私に届いた。
久しぶり…その言葉が妙に嬉しい。
「ねえ、聞きたい事あるんだけど?」
私は土手の上からそう声をかけた。
確かめたい事があった。
きっと聞き出したらきりがない。
でも確実に一つ決まっていた。
「何ですか?」
きちんと立ち上がり私を見上げてくれる。
その姿も声も、間違いなく私が捜していた人のもの。
「…あなたの…」
強い風が私の口を塞ごうと吹く。
でも負けじと大声で尋ね直す。
「あなたの本名はなんていうの?」
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