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「竹とんぼ…」
変色して汚れたそれは確かに竹とんぼ。
小さい頃、遊んだ気がする…。
「たけとんぼってなに?」
「ちょっと貸して。見せてあげる」
昂くんの隣にしゃがみ込んで竹とんぼを受けとると昂くんの手を引いて外にでた。
確か…こすって…放す!
ブゥンッ
音を上げて竹とんぼは空に舞い上がる。
「うわぁ、うわぁ!すごいね!すごいね!」
飛び跳ねて喜ぶ昂くんは落ちてきた竹とんぼを拾いに行った。
ニコニコ笑いながらまた私に渡す。
「もう一回!」
「いいよー」
受け取りもう一度、こすって放す…。
ブゥンッ
高く舞い上がる竹とんぼは蔵の方へ向かっていく。
「あ!入っちゃった!」
上にある小さな穴にストンと入って行った。
「すごいすごーい!」
喜んで蔵の中に入っていく昂くんを追った。
「おねえちゃん、ないよぉ!」
ウロウロキョロキョロさがしている昂くんと一緒に探しても確かに中に入ってきた竹とんぼはない。
「…あれぇ?穴開いてるよ!!」
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