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昂くんが指差す方を見上げると梯子がかっている。
上には四角い穴も空いてる。
小さい頃気が付かなかったな。
「上にあるのかな?」
「えー、じゃあもうあそべないの?」
「うーん…みてこよっか?」
「うん!!」
「昂くん待っててくれる?」
昂くんはしゃがみ込んで大きく頷いて私を見つめていた。
子供の時、きっと登れなかったんだな。
梯子の一番下は私の目の前にあるから、台がないと上れない。
近くの樽をずらしてみる。
いい年して何やってるんだろ?
それでも消せない自分の好奇心に呆れながらも、キラキラと瞳を輝かせてみている昂くんに竹とんぼとってあげないと。
「よいしょっと」
樽の上によじ登って梯子に足をかける。
「そこにいなくちゃダメだからね?いい子に待っててね?約束だよ!」
念を押す私にうんうんと頷いてまたしゃがみ込んでいる。
…この梯子、腐ってないよね?
木のトゲも気にしながら上がっていく。
キシッ キシッ
昇るたび木がきしむ音がした。
昂くん連れては上がれないなぁ。
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