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四角い穴から顔をだすと下より明るかった。
あちこちに木が腐ってできたのか穴が開いてる。
キョロキョロと見回すとはしっこに竹とんぼが落ちてた。
「昂くん、竹とんぼあったよ!」
「ほんとお?すごいおねえちゃん!」
すごくはないけどね。
それでもちょっと得意げになる。
「よいしょっと」
キシッ
キシッ
床の上に立つと今度はミシッて音がした。
大丈夫なのかな、ここ。
床、抜けたりしないよね?
竹とんぼまで歩いていく。
「おねえちゃん、早くう!」
下からちょっと怯えたような昂くんの声。
「すぐ行くからもうちょっと待っててね」
少し大きな声をだすと、下から「うん!」と返事がかえってきた。
かわいいなあ。
竹とんぼを手にとると少し早足で歩いていく。
昂くん下で一人で待ってるの怖いのかも。
梯子まで行って四角い穴から下をのぞく。
昂くんと目が合い、少し淋しそうだった顔がパッと輝く。
「今降りるからね」
覗き込んでたせいで頭に血が上ったのか、少しクラッとした。
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