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カラン
カラァン-…
「ハァ…ハァ…お前…本当に強いな…本気出さなかったら…多分負けてた…」
どうやらこの勝負は近藤が勝った。しかし近藤の身体は汗だくで、とても九歳の少年と手合わせしたとは思えなかった。
「嘘だろ…近藤さん…?」
周囲の皆は驚きを隠せない。それもそのはず、近藤は試衛館で一番強いのだから。
「いや…こいつは本当に強いよ…ははっ、親父もスゲーよ、こんな坊主見つけてくるなんてな」
そう言い近藤は笑いながら沖田の頭をぐりぐりと撫でこう言った。
「悪かったな…大人げなかったけどちょっと本気出しちまった。けどお前、スゲーよ!!
宗次郎、お前は将来立派な侍になるな!!」
近藤は豪快に笑いながら「これからよろしくな」、と沖田の前に手を差し出し握手を求めた。
沖田は幼い頃から姉の家で育ち心どこかで自分の居場所はないと思っていた。
しかし、ここは違う。
幼い自分と対等に接してくれる人、そして護りたいと思える仲間がいる。
この時、幼い沖田はここが自分の居場所だと思った。
そして何があっても近藤を護ると決意する。
手を差し出した近藤に対し「こちらこそ」と満面の笑みで近藤の手を握った。
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