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「明美に恋人がいる・・・、そのうえ重い病気にかかっていて、日本じゃ治せないからアメリカに行かなきゃ行けない・・・」
健太はそう言って驚いた顔をしたかと思うと、俯いてしまった。
俺は、昨日の出来事を教室で話していた。
俯いたままの健太の肩が、微かに震えているのがわかった。
もしかして泣いているのか?
健太にとっても、すごく辛いことなんだろう。
そりゃ当然だよな。
俺たち3人は、幼稚園の時からの幼馴染なんだからな。
なんていえばいいのかわからず黙っていると、しばらくして健太は顔をあげた。
目の端には涙が溜まっていた。
それを拭うと健太は突然真剣な顔になって俺の目を見た。
「それでお前はこれからどうするんだよ」
どうすって言っても、俺にはできることなんて何もない。
「俺には何もできないよ・・・」
すると、健太は怒鳴った。
「お前ないいかげんにしろよ。大切なのは事実がどうとかそういうことじゃなくて、お前がどうしたいのかのほうじゃねぇのかよ」
その声に教室にいた何人かがこっちを見ていた。
俺は驚いていた。
健太が怒鳴るところなんて、今まで一度も見たことがなかったから。
「あの・・・」
俺が何か言わなきゃ、そう思って口を開いたとき、
「もういいよ。だけどな、これだけは言っておくぞ。もういい加減自分に嘘つくのはやめろよ・・・」
そう言ったかと思うと、健太は口を押さえて後ろを向いてしまった。
また肩が微かに揺れているのが見えた・・・。
「義明さんはどう思います?」
俺はまた教会に来ていた。
一人で考えようと思ったけど、どうしても耐えられなくなってここに来てしまった。
すると、しばらく顎に手をあてて考えてから、義明さんはゆっくりと口を開いた。
「そういえば、あの噂の真相を話していなかったね。丁度いいから話しておくよ」
そして、義明さんはあの噂の真相を喋り始めた・・・。
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