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「武、お前最近明美のことほったらかしだろ」
学校の帰り道、また教会に行こうとしていると健太が話しかけてきた。
少し怒ったような顔をしていた。
「いや、ちょっと・・・」
俺は教会のことは、健太にも話していなかった。
内緒にしていたかったから。
「お前なプレゼントのことも大事かも知れないけど、明美本人のことをもっとちゃんと見といてやれよ。今明美色々と大変なんだから」
健太は小さなため息をついた。
色々大変?
そういえば最近は、練習が忙しくてあまり喋っていなかった。
「何してるかは知らないけど、今日は明美に会いに行ってやれ。ここにいるはずだから」
健太は俺に小さな紙を渡してきた・・・。
「大きいな・・・」
健太の紙に書かれていた場所は、この街で一番大きな病院だった。
だけど、何で病院なんかに明美がいるんだ?
病気なのか?
そんなまさかな、俺は頭を軽く振って嫌な考えを飛ばした。
そして、それから自動ドアをこえて中に入っていった。
でも、考えて見ればどこにいるかもわからないんだよな。
受付の人にでも聞いてみようかな。
そう思っていると、丁度階段を上っていく明美を見つけた。
「明美・・・」
呼び止めようかと思ったけどやめておいた。
病院で大声を出すのもどうかと思ったし、それに真実を知るためには、気づかれないようについていったほうがいい気がしたから。
少し距離をとりながら明美のあとをついていくと、階段を抜けて通路を歩き始めた。
壁に隠れるようにしながらその様子を窺っていると、明美の前に男の人が現れた。
俺たちよりも少し年上の男の人だった。
背も高くてなかなかかっこいいように見えた。
あの人は誰なんだ?
明美に兄弟はいなかったはずだ。
そう思っていると、突然明美がその男の人に抱きついた。
俺はあまりのことに呆然として、その様子を窺った。
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