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芳人のことばをしっかりと、噛み砕いて飲み込んだ。 「あいつはなんでか可愛げねぇけど、たまに可愛いこと言うんだ。人一倍愛想ねぇ気もするだろが、俺にとっちゃ自慢の娘だ」 芳人の言うことに、最初は戸惑いながらもひとみのことだと理解する。 「ひとみちゃんは可愛いですよ。つれないですが…」 くすん、と泣き真似をするとははっと笑いが返ってきた。 「あいつの友達の瑠璃ちゃんはほんとにいいこだ。ずっと側にいてやってほしいと思うしな」 「あぁ…でもなんか…怖くないですか?」 そうかぁ?と芳人は湊谷を見た。 どこがと、具体的な表現できない湊谷は力無い笑いをする。 「まぁ、どっちも俺にとっちゃ大事だ。何捨てても守る気はある。だけど、俺の手や目がいっつも届くってわけじゃない。だから、もしなんかあった時あんたが近くにいたら…」 ふぅ、と一つ息を吐いて湊谷の目を見た。 暗い中で、二人は互いの目を見合う。 「あいつらを、守ってやってな」 そのことばにただ、頷くことしかできなかった。 芳人はそれに安心したように礼を言い、また反対を向いて寝息を立て始めた。 湊谷も反対を向いた。 目を閉じて馳せる。
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