恋を感じた頃

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『もうすぐ、クリスマスだね。』 部屋のカレンダーを見ながら、詩子が呟いた。 和也はふと思った。 詩子と迎えるクリスマスが、さて何度目だろう。 彼女と知り合ったのは大学時代のことだった。 サークルの宴会で、たまたま隣にいた詩子。 彼女は静かな女だった。 話の中心になることはなく、どちらかと言うと控え目な性格で、よく気が付く女だった。 鍋があれば、黙って取り皿に取り分けて、みんなに渡した。 そして、焼酎の水割りやウーロン割りを、黙ってみんなの分を作ったりもしていた。
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