春-おまけ-

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「何しよんか、お前?」 背後から飛んできた声に、何気なく振り返る。 「いらっしゃいまーーー……」 言いかけて、言葉を失う。 レジの向こう側に立つその人は、再び口を開いた。 「何や?」 ニヤリと笑うその表情は、約半年間もの間、ずっと忘れられないでいた笑顔。 「……ーーーっ!?」 両手で口元を覆い、思わず息を呑む。 記憶の隅に押しやっていたはずの想い出が、止めどなく溢れ出す。 「…何でここに居るん!?」 ようやく発した言葉は、相変わらず可愛げのないものだった。
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