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「ねぇ……?」
私がポツリと口を開く。
「…何や?」
眠たいせいか、普段より更に少し低くて、不機嫌そうな貴方の声。
「………遠すぎじゃない?」
「あ?何がや?」
「そーんなに離れんでもいいやんっ!」
私は遠慮してベッドの左端に。貴方はわざわざベッドの右端に、しかも私に背を向けて横たわっている。
決してダブルではないはずのベッドに、間にもう一人寝れる程のスペースが空いている。
“前は腕枕してくれたのにな…”
一緒の布団で寝ているにも関わらず、二人の間の空気が、何だか冷たく感じた。
「コホッ…」
私が小さく咳をしたのに、貴方は素早く反応して、私の方を向いた。
「お前、何でこっち向いて寝よるん?あっち向かんか!」
「えぇっ?!…何でぇ?」
「何で?…俺がそっち向いて寝るけんったい」
「あぁ、そうですかぁー…」
私はふてくされた表情をして、くるっと向きを変えた。
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