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過去の記憶を辿っているうちに、貴方の方から聞こえてくる寝息。
“本当に…寝ちゃったんだ?”
私はまだ心の片隅で、貴方に抱き締めてもらえることを期待していた。…でも、貴方が寝てしまっては、それは不可能なこと。
貴方が寝付いたのを確認して、そっと体ごと貴方の方を向いた。
“もう…無理なんだよね…?”
心の中で、貴方の背中に向かって問い掛ける。
そして、ゆっくりと…私も瞳を閉じた。
どれくらいの時間が経っただろう。私は何故か、ふいに目を覚ました。
それと、全く同時だった──…
ゴソッと音を立てて、布団が動く。ギシッとベッドが軋む。
“えっ───…!!?”
私の身体全体で感じるのは、懐かしい貴方の体温。私は、貴方の腕の中に包まれていた。
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