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ホームに降り立って周囲を見渡すと、澄んだ青空に白い雲が浮かび、一面に広がる田んぼの向こうに住宅地があって、更にその向こうにはくっきりと山が見えた。
“すごく綺麗…”
よっぽどの都会でも無い限り、地元でも探せば見つかりそうなこの景色を、何故かとても美しく感じた。
“もう──…
この駅に来ることは
無いんだよね…?”
そう考えた途端、一気に涙が込み上げてきた。
ゆっくりと電車が近付いてくる。
電車に乗り込み、窓際の席に座った。
「間もなく発車致します。ドアが閉まりますので、ご注意下さい」
キィ──…。
車掌さんのアナウンスに続いて、金属音が耳に届き、ゆっくりと…車両が動き出した。
貴方の居る町が
ゆっくりと遠ざかっていく。
もう二度と……
見ることのない景色…
涙が……溢れた。
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