春-おまけ-

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  「今から友達と花火見に行くったい」 「へぇー……」 レジに置かれた商品を手に取りながら、目線を貴方へと移し、上から下までざっと眺める。 「……チャラついたねぇー」 「蹴り飛ばされたいん?」 「いや、遠慮しとく」 「ハハッ。なめとんか?」 「別に?クスッ」 以前と変わらない懐かしいやり取りに、思わず頬が緩む。 ドクン…… ドクン…… ドクン…… いくら言葉で平然を装っていても、身体は正直だ。 お金を受け取り、お釣りをレジから取り出す指先が震える。 “何で……ここに来たの?” 頭に浮かぶ疑問。 蘇る懐かしい記憶。 目の前に居る……貴方。 私は、目の奥に込み上げてくる熱い何かを必死に堪えた。
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