出逢い

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黒屡と氷はラヴァンという街に来ていた。   ここにも闘技場があるのだ。   もちろん戦闘が苦手な氷は、   かなり嫌がっているのだが、   彼に拒否権はなかった。   闘技場につき、勝手に手続きを済ませると、   黒屡は近くの椅子に座った。   「黒屡さん!僕には無理ですよ……」   「馬鹿。最初から諦めてたらできるもんもできなくなるっての。   いいか?お前に足りないのは戦闘の経験だ。何ごとも経験だよ。」   黒屡はそういって笑った。もちろん氷は納得していない。   そんな無理な理由を付けないでも……   そんな瞳で黒屡のことを見つめている。   そんなころ、シノンはラヴァンに来ていた。   前魔王の魂があると感じてやって来たのだ。   前から感じていたのだが、ここにきて強くなった。   「ここに……魔王様が……?」   理解しがたかった。騒がしい街。   闘技場で盛り上がっている人々。   こんなところにとても優しい魔王がいるとは思えない。   「まぁ、いなければ旅立つだけですけど。」   気が強くなっていく。自分の感覚を疑った。   何故なら、彼が今向かっているのは闘技場だったのだ。   「……観戦、されているのでしょうか?」   彼が真実をしるのは、もう少し先のことである。
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