クリスマスの手紙

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その電話の後、彼が運ばれた病院の彼の居る部屋に、泣きじゃくる彼のお母さんの前に仰向けになっている彼と遺品の数々の中に、血とぶつかった衝撃でクシャクシャになった、私へのプレゼントだったろう包装紙に包まれた少し小さな箱があった。 その時の私は、酷すぎたその光景をみて泣くことさえ忘れ、ただ力無くへたれ込む事しか出来なかった。 後日、彼の葬式が行われた。だけど、彼が死んだ事実はあまり実感が持てなかった。 お坊さんがお経を唱えてるときは涙は出なかった覚えがある。 しかし、棺の窓越しに見える彼の血色のない、傷だらけのとても穏やかな寝顔をみた時は流石に涙が溢れた。
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