別の蜘蛛の巣

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クラブariaのイベントまで数日という頃、嵩が訝しげな面持ちで鷹に話を切り出した。 「ariaのフリーな、ヤバイらしいぞ」 元々、ariaが子供に荒されていないところだったので寝耳に水な話であった。 「でも、ariaだろ?工藤さん、そういうのうるさいからフカシじゃね?」 工藤はariaのオーナーであり、以前少し揉めた事のあるヤクザだった。 ariaは趣味の店らしいので組の事は知られていないので知る人間は少ない。 「だろ?俺もそう思ってたんだがなぁ。 なんか、今工藤さんとこ騒がしいらしいから、そういう絡みなんかな?」 夜の街で鷹の顔を知らない人間がいないような状況にまでなってしまっているため、嵩達はすっかり夜の街の事情に詳しくなってしまった。 更に言えば嵩は純や提よりも少し深く関わっていた。 初めは友達のために情報を集めていたようだが、今では自分なりのネットワークを持って、工藤にも鷹と同様に気に入られていた。 「最近、見慣れないのが歩いてるのはそういう事か…」 騒がしい という事態を理解した鷹が、ここ一ヶ月街中で暴れるチンピラをしばしば見かける事を思い出した。 「ariaは今までにフリーはしたことねぇんだよなぁ~ オーナー変わったんかな?」 所詮高校生の自分達には首も口も突っ込めない事情ではあるが、今回のフリーイベントにはかなりの集客がある事は目に見えている。 今までのariaを利用すればかなり大掛かりな事も可能だろう。 「行く気はなかったんだがな、悪い、ギリまで調べてくれ」 絢が行くとなれば話しが変わる。 オーナーが変わったという結果がわかれば今後の遊び場所が変わるだけの話ではあるが、街をまとめている組の抗争に何も知らずに巻き込まれるのは業腹というものだ。 ふらふらと遊んではいるが、そのネオンの世界で顔を広めてしまっている鷹達が遊ぶには少なからず筋を通す事態が発生する。 それら理解している工藤は鷹達を気に入って、気にかけてくれていたのだ。 「俺も気になるしな、また何か分かったら言うし」 ひらひらと手を振り、嵩は携帯を触り始めた。
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